flotsam books（フロットサムブックス）

日本のアーティスト 滝沢広（Hiroshi Takizawa）の2020年rin art associationで開催された個展を元に作られた作品集「The Scene (Berlin）」です。
全編を通して展示風景の写真を背景に実際に展示された作品の図版を貼り付けることによりより立体的に展示を追体験出来るような仕様になっています。
図版の途中途中に段落ごとに挟み込まれる中野拓哉さんによるテキストはモネやマン・レイ、ウォーカー・エヴァンス、シンディ・シャーマンなど美術史に名を連ねる巨匠や古代のギリシヤ彫刻などを引き合いに出しながら滝沢の作品を深く読み解きます。

日本のアーティスト Takizawa, Hiroshi（滝沢広）の作品「Criminal Garden」です。
Project01: “Assumption”
犯罪者プロファイリングは、被疑者像を仮説化するための捜査手法として用いられます。
特定の設定や犯罪現場に残されたものから想定される人物像が推測され浮かび上がってきます。
私は、このような仮定の人物像がどのように展開していくのか、また、これらのプロファイルは仮定の犯人に置き換えない限り、架空のものであり実在しないという事実に興味をそそられています。

“Assumption”は、通常の周囲にある物体をスキャンしたイメージで構成されています。
平面を撮影したり、スキャンしたりするのではなく、結果の歪みを強調する方法として、凹凸のある物体をスキャンすることを選びました。
その結果、本来の形や形とはかけ離れた、非常に詳細なイメージが得られました。また、この方法は複製の過程で架空の物体を表現することができることを示しています。
私にとって、プロファイリングとスキャニングのプロセスには、架空のイメージを作り出すという意味での類似性があります。
この作品では、犯罪的な背景はないかもしれませんが、架空のプロフィールのイメージを作ることを目指しています。私が興味を持ったのは、スキャンされた対象物が架空のキャラクターを獲得し、その存在に新たな次元の可能性を明らかにし、さらに、架空の存在が実際にはより現実に近いものであることを示唆していることです。

日本の写真家 滝沢広（Hiroshi Takizawa）の写真集「étude I Input / Virgin」です。『étude』は字義通り本番前の習作を意味するセルフパブリッシングによる連作で、加工を施す以前の生 (なま) の状態のスナップショットで構成されています。 『étude I Input / Virgin』は5つのシリーズから成り、滝沢の即物的な被写体への反応を垣間見ることができます。カラーとモノクロの2つのバリエーションがあります。コンクリートや岩、石の中に時折混ぜられた人の肌の見せる生命力みたいなものが異質で、際立ったり、被写体それぞれの時間の流れ方が全然違う感じがして、興味深い。

Newfave Trip zine 第二弾となる『A.M.S.』は2014年9月のオランダ・アムステルダムへの旅を通して横田大輔と滝沢広が撮影した写真を編集したzineです。二人合わせて10000枚にも及ぶ膨大な撮影枚数のカットから横田・滝沢が選び、編集した二種類のバージョンがあります。その場に対する写真家の興味、編集に対するそれぞれのスタンスが生々しく現れています。