【Artist】Michael Borremans(ミヒャエル・ボレマンス)
【出版社】HATJE CANTZ 2005年
【装丁】Hardcover(ハードカバー)
【ページ】112 pages with col. illus.
【サイズ】24.5 x 17.5 cm
【状態】B-: 表紙スレ, 下部少ヨゴレ等
ベルギーのアーティスト、Michael Borremans(ミヒャエル・ボレマンス)の作品集。
プラスチック製のキャップが、上品な女性の髪の上に丁寧にかぶせられる。白衣を着た3人の男性が、それぞれ1人ずつの女性の瞳を熱心に覗き込んでいる。真面目で知的な2人の女性が、白いテーブルを見つめている。スーツとネクタイ姿の男性は、指の間に赤い球体(おそらくサクランボ)をいくつか挟み、うっすらと微笑んでいる。中年の女教師が、小さな茶髪の子どもの裸の背中に風車の絵を描いている。
ミヒャエル・ボレマンスの謎めいた絵画に登場する人物たちは、いまこの瞬間、ある几帳面な作業に没頭している。彼らはどれくらいこの作業を続けているのだろう、そしてこれからどれほどの時間、続けるのだろう?
すべてをますます早く「見る」ことに慣れきった現代の鑑賞者は、逆に、この魅惑的で不可解な油絵をより深く見つめざるを得ない。ボレマンスは、対象となる人物たちが何かに真剣に取り組んでいるその瞬間を捉えており、観る者にも同じだけの集中を要求してくる。
しかしどれだけ目を凝らしても、描かれた人物たちに具体的な特徴は見出せない。具体的な時代や場所といった概念は、トープ(グレーベージュ)やオーカー(黄土色)といった中間色に溶け込んでしまっている。この中流階級的な抑制の曖昧さが、皮肉まじりの謎めいた世界を引き起こし、それはさらなる思索を促すにふさわしい。









