【Photographs by】Peter Hujar(ピーター・ヒュージャー)
【Foreword by】Benjamin Moser
【Introduction by】Susan Sontag(スーザン・ソンタグ)
【出版社】Liveright 2024年
【装丁】Hardcover(ハードカバー)
【ページ】100 pages with monochro. illus.
【サイズ】28.9 x 26.4 cm
【状態】A: Like New
『Portraits in Life and Death(生と死のポートレート)』は、Peter Hujar(ピーター・ヒュージャー)が生前に刊行した唯一の写真集です。
本書に収められた29点の肖像写真には、ウィリアム・バロウズ、スーザン・ソンタグ、ジョン・ウォーターズといった著名な文化人から、トロカデロ・グロキシニア・バレエ団の創設者ラリー・リーや、正体不明のT.C.といった人物まで登場し、奇抜でありながらも強烈な心理的深みと美しさをたたえています。
それらの肖像に続くのは、まさに「衝撃的」としか言いようのない11枚の写真です。これは、シチリア島パレルモの教会地下にある乾いたカタコンベ(地下納骨堂)で撮影された、19世紀の衣服をまとったままの遺体の写真です。
写真同士に明確なつながりはなく、また本書の二部構成にも直接的な連続性はありません。しかし「生」から「死」への図像的な推移は、私たちすべてが辿る道の象徴であり、肖像に写る生者たちは、カタコンベの写真に深く刻まれた「死」をどこかで意識しているようにも感じられます。二つのイメージ群は異なる形で、私たちの意識の奥深くにある根源的な恐れや感情に訴えかけてきます。この異様な写真集を見た後では、そこに何らかのつながりや意味を見出さずにはいられず、また、フジャーが一貫して写し出す「被写体の内なる精神性」に心を動かされずにはいられません。
それでいて、これらの写真にはどこか無頓着で、時に陽気ささえ漂っています。この本は、奇妙で、遠回しで、ときに不明瞭でありながら、確かに深く感じられるものがあります。そしてそれは、心に「とげ」のように残り、一度見たら忘れることはできません。