【Photographs by】Felipe Romero Beltran(フェリペ・ロメロ・ベルトラン)
【出版社】Loose Joints 2025年
【装丁】Hardcover(ハードカバー)
【ページ】168 pages with 61 colour plates
【サイズ】29.5 x 24 cm
【状態】A: New
パリを拠点とするコロンビア出身の写真家 Felipe Romero Beltran(フェリペ・ロメロ・ベルトラン)の写真集『Bravo』は、アメリカとメキシコの国境を成すリオ・ブラボ川(米国名:リオ・グランデ川)を舞台に、移民たちが国境を越える前の「静止した時間」を描いた写真集です。
この川は恒常的な緊張と移動が交差する場所であり、アイデンティティと地理がぶつかり合う場でもあります。
ロメロ・ベルトランは、約270キロにわたるこの川の流域に焦点を当て、川そのものが静かな主人公となるような、捉えどころのない視覚的物語を構築します。
川は人々の人生を形づくりながらも、画面にはほとんど姿を見せません。厳格なポートレート、質素な室内、傷ついた風景を通じて、『Bravo』は不確かな越境の影の下で人々が時に数年にわたって待つ、移動の「停止した時間」をとらえています。
本書は「終わり」「身体」「断絶」の3つの章から構成されており、ロメロ・ベルトランの捉えがたいドキュメンタリー的アプローチは、分類、囲い込み、定義、識別といった記号論的な概念に挑戦し、抑圧され制御された境界におけるアイデンティティの在り方を視覚的に映し出します。
希望と絶望、動きと停滞が交差するこの矛盾に満ちた国境を詩的かつ緊急に見つめる、重層的なビジュアルメディテーション(瞑想)の一冊です。