【Photographs by】Henry Leutwyler(ヘンリー・ルートワイラー)
【出版社】Steidl 2020年
【装丁】Hardcover(ハードカバー)
【ページ】144 pages with illus.
【サイズ】30 x 20.3 cm
【状態】A: Like New
これまでのセレブリティの遺品シリーズと同様に、Henry Leutwyler(ヘンリー・ルートワイラー)は『Hi there!』でも、対象物に内在する意味を、無表情かつ鑑識的な手法で浮かび上がらせます。しかし同時に、そこには敬意があり、想像の中でその物が命を帯びてくるように感じられます。その鋭い観察力によって、物に宿る人格が明らかになり、その背後にある幽霊や記憶までもが立ち現れます。ルートワイラーは、私たちが少しだけ注意を向けさえすれば、豊かな可能性と細部に満ちた物体の世界を親密に探求できるよう導いてくれます。
たとえば、私たちがフランク・シナトラ(1915–1998)の1970年代アナログ時代の、いまではどこか懐かしささえ感じる私的なポケット電話帳を覗き込むと、シナトラの交友関係を信頼できる形で把握でき、その人間関係の意味について想像を巡らせることができます。100を超える名前と電話番号には、リチャード・ニクソン、ジェラルド・フォード、スピロ・アグニュー、バリー・ゴールドウォーターといった重要な政治家たちへの直通番号も含まれています。
ウォルター・アネンバーグ、ローレンス・ロックフェラー、マーヴィン・デイヴィス、ジョン・クルーグ(当時アメリカで最も裕福とされていた人物)など、アメリカの大物実業家たちとも繋がりを持ち、資本へのアクセス手段をシナトラは熟知していたことがわかります。また、ディーン・マーティン、グレゴリー・ペック、ロジャー・ムーア、ジェリー・ルイス、バディ・リッチなど、ワンタッチで連絡が取れるアーティスト仲間の存在も明らかになります。さらには、シナトラが通っていた医者や歯科医の名前も記されており、「オール・ブルー・アイズ」にふさわしい最高の専門家たちであったことは間違いありません。