【Photographs by】Matteo Di Giovanni（マッテオ・ディ・ジョヴァンニ）
【出版社】THE ICE PLANET 2024年
【装丁】Softcover（ソフトカバー）
【ページ】96 pages with 50 col. images.
【サイズ】29 x 24 cm
【状態】A: New
2013年から2023年にかけて、Matteo Di Giovanni（マッテオ・ディ・ジョヴァンニ）は、イタリア、スカンジナビア、北ヨーロッパを巡るいくつもの写真の旅に出ました。
それらは“知の旅”とも呼ぶべきもので、地図や地理的な計画から離れ、直感と好奇心に従って進む旅でした。観察と写真によるイメージの生成を通して、外界を理解しようとする方法です。
『True Places Never Are』は、この10年間に中判カメラで撮影された写真を再考し、再構成した作品集です。最初は3冊のフォトブックとして独立して刊行されましたが、本書では未発表の作品も加えられ、場所や年代といった具体的な情報よりも、写真によってのみ喚起される曖昧で詩的な意味や連想を重視した、一つのまとまりある作品として提示されています。
この写真群に登場する風景は、親密でありながら神話的であり、静物は広大さと開放感を湛えています。内と外の境界もあいまいで、入れ替わるように感じられます。そしてメルヴィルの『白鯨』と同様に、水の気配が作品全体を覆っています。海景、氷河、霧のたなびき——主人公である写真家は、帰属、自我、真実といった、つかみがたい「何か」を追い求め、果てしなく旅を続けているのです。
地図には載っていない場所——本当の場所は、決して地図には描かれない。
— ハーマン・メルヴィル『白鯨』
