flotsam books（フロットサムブックス）

ベルギー、ブリュッセルの写真家／アーティスト V.D.（Vincent Delbrouck）（ヴィンセント・デルブロック）のヒマラヤプロジェクトの第３作目となる写真集「dzogchen」です。タイトルのゾクチェンとは、チベット古来の宗教であるボン教に伝わる教えで、チベット語で「大いなる完成」を意味する「ゾクパ・チェンポ」の短縮形であり、人間を含むあらゆる生きもの（一切有情）の心性における本来の様態、またはあるがままで完成された姿のことを指しているってウィキに書いてた。カトマンズのカラフルで強烈な生活の色彩をコラージュのような大胆なページ構成で鮮やかに写してる。木々や、湖、植物、人々、自然だけでなく、打ち捨てられた車や、椅子、空き瓶など人工物までも等価に美しい。と思う。

オーストラリアの写真家 Sam Harris（サム・ハリス）の写真集「The Middle of Somewhere」です。消費者主義が飽和するデジタル世界。「The Middle of Somewhere」は、世界の遠い片隅（オーストラリアの南西）のそれらの影響を受けていない幼年期の声を届けます。時折見られる、思いやりと素直さ、不思議な体験をする自由を感じる場所で、サム・ハリスは彼の娘たちに焦点を当てます。木と影、太陽に照らされた顔、過ぎ行く季節は、彼の刺激的な撮影により感動を生活にもたらします。

ラットレース（働いても働いても豊かにならない暮らし）、競争社会を去る事を決めた時から、この写真家の家族の１２年間を記録します。それはオーストラリアの路上での生活や次女を生んだインドでの数年間も含まれています。

同時にそれは、愛の意味について、姉妹について、成長について、姉妹について、家族について、風景について、自然のリズムについて表現します。

イタリアの写真家 Tommaso Tanini（トンマーゾ・タニーニ）の写真集「H. said he loved us」です。<br>
ドイツでの旅行や調査の3年後、トンマーゾ・タニーニは、住んでいることによって引き起こされる恐怖と抑圧の感情を探求し、ドイツと国家安全保障（STASI）のための物語を描きます。架空の物語の枠組みの中でドキュメンタリーの研究と文学のリファレンスが入り交じった彼の個人的な写真の研究は、権威と支配による優雅で抑圧的な寓話です。厳格な風景に収集した文書、自伝ノートに肖像画や、画像などを継ぎはぎし、新たな断片化した精神を作り出します。痕跡や提示が豊かなモザイクのように構築され、「H. said he loved us」は一方的なヴィジョンや決まり文句を避ける事を課すことなく、全体主義の持つ悪の性質と繰り返しについて私たちに微かに警告します。

スペインの写真家 Arnau Blanch（アルナウ・ブランチ）の写真集「EVERYBODY NEEDS GOOD NEIGHBOURS」です。この本は非常に特定の地域、撮影者の故郷、Vilobí d'Onyarの村から始まる写真プロジェクトです。約3,000人が住むこの自治体は、輸送インフラの合流点に位置し、カタルーニャ地域の典型的な村のように見えるかもしれませんが、インフラに囲まれた「無人地帯」としてバラバラの領土に取り囲まれています。トンネル、橋、フェンス、および擁壁は、地域の住民が適応しなければならなかった景観を構成しています。写真家は馴染みのあるものに新しさや驚きを求めて、独自の方法でこの地域に近づき、その移り変わる空間とそこに生息する人々の両方を探索します。

ポーランドの写真家 Rafal Milach（ラファウ・ミラハ）の写真集「The Winners」です。この本は、ヨーロッパ最後の独裁者とも言われるアレクサンドル・ルカシェンコが大統領を務める国、ベラルーシ当局がサポートするさまざまな州および地方コンテストの優勝者に捧げられています。これは、ベラルーシ当局が独裁国家を維持する為に開かれている様々なコンテストの勝者のポートレートを撮っているという体を装ってはいるが、実際にはそれらの人たちや物を撮る事によって、その独裁政治への皮肉になっているらしい。様々なコンテストも、警察官、ナース、図書司書、双子、軍人や、ジャガイモ、ジェニファー・ロペスに似てるとかまで、もう訳わかんない感じ。様々なポートレートが並ぶ一見するとなんという事は無い写真集に見えるが、図版の上部のみページに貼付けられており、図版を捲ると何の写真か簡単な説明が書いてある凝った造りになっています。表紙のテキストはルカシェンコ大統領が2004年に大統領の多選を禁じる憲法の改正を行った時の条例文が、裏表紙には愛国ラップの歌詞が書かれている。

アイルランド人フォトグラファー、Ci?ran ?g Arnold (キーラン・オグ・アーノルド）の処女作品集。〈殺されたいと願いながら、この世で一番最悪なバーに行った。でもそこで唯一できたのはまた酒を呑むことだった〉という、アメリカ人詩人・作家のチャールズ・ブコウスキーの詩をタイトルに引用した本書は、アイルランドのサック川沿いにあるバリナスローという町が舞台となっている。「人込みの瀬の口」を意味する町名の通り、かつては人の集まる場所であったが、今では人がいないゴーストタウンのようになっている。人がいないクラブ、場末のバー、退廃した町の様子を透明人間のような視点で映し出している。文庫本のようなブックデザインからも本書コンセプトが伝わってくる。
過去に写真集出版経験の無い作家の出版支援を目的とする「First Book Award」2015年グランプリ受賞に伴い発行。

ヘルシンキの写真家 Heikki Kaski（ヘイキ・カシキ）のカリフォルニア州、セントラルバレーに位置する「Tranquillity（静けさ）」と呼ばれる小さな街を撮った写真集「Tranquillity」です。熱と埃、空き地と荒廃したの建物に積み上げられたジャンク品、それはどこかへの途中にある静かな場所だと思われる、独自性を諦めた場所。 しかしカシキの撮る人たちからは、その根底にある緊張を感じる事が出来る。彼らの顔は髪に隠れていたり、背を向けていたり、白色光の明かりの所為でほとんど見ることが出来ない。だから私たちは、彼らの身体や姿勢、もしくは頭上を渦巻く鳥や、節くれだった木や乾燥した草、病気の犬から表情を読み取ることを余儀なくされる。2013年、UNSEENのダミーブックアワードを受賞した作品です。

オランダの写真家 Awoiska Van Der Molen（アヴォイスカ・ヴァン・デル・モレン）の写真集「Sequester」です。写真は光によって存在しますが、Awoiska VanDer Molenの風景は暗闇から朧げに現れます。彼女のモノクロ写真は、彼女が撮影する孤立した世界の中心に深く浸透したいという願いから生じています。彼女の卓越したプリント技術によって制作され現代的なモノクロ写真はヨーロッパで最も上質なもののひとつです。確かな技術とその美しい作品によって極端な方法でそれらの根源を探求します。

顕微鏡等の光学レンズシステムによって、19世紀に飛躍的に科学技術が前進し、19世紀後半には小宇宙の探査は科学的に共通の追求であった事を意味します。個人は特定の地域やテーマに興味を持つようになり、その対象における基礎知識を大幅に増やしました。それは別の宇宙と別の次元という夢の旅行の可能性を開きました。
この本はTimothy Prus（ティモシー・プラス）による19世紀の顕微鏡スライドの一連の展開、歴史的探求の一部を遊びとして再編集します。